2013年12月5日木曜日

[説教要旨]2013/11/17「髪の毛の一本も」ルカ21:5−19

聖霊降臨後第26主日/三鷹教会成長感謝礼拝

福音の日課 ルカ 21:5?19 【新約・ 151頁】

 本日の日課では終末における崩壊について書かれているため、私達に様々な恐れと不安を呼び起こす。たしかにここで挙げられる、戦争・暴動・飢饉・疫病・地震といったものはどれも一人の人間の力ではどうにもならないようなことばかりである。それらに対して、私たち人間は恐れと不安を抱き、絶望せずにはいられない。
 しかし、自分ではどうにもならないものへの恐れと不安そして絶望は、終末に関わるものだけではない。実に私達の毎日の中にそれらは存在している。
 「とってもこわがりな、世界中で一番弱虫な」ラチという男の子が主人公の「ラチとライオン」という絵本がある。ラチは犬が怖い、暗い部屋が怖い。そして友達も怖い。だからいつも一人ぼっちで絵本を読み、強く大きなライオンの絵を眺めるだけだった。そんなラチのところに、ある日小さな赤いライオンがやってくる。大きな強いライオンを願っていたラチは、小さなライオンに失望する。しかし、その小さなライオンはいつもラチと一緒にいて、ラチに勇気と元気を与えることとなる。ライオンがついていてくれるので、ラチは恐れていた暗い部屋に入ってクレヨンを捜し出すことができた。また、小さなライオンがポケットの中に隠れて、ラチは外に出かけてゆく。ライオンは他の者からは見えないが、ライオンがついてくれることを思う時、ラチは自分の怖さを乗り越えて、犬を怖がっている女の子を助けてることができた。さらには、怖かった意地悪な大きな子を追いかけて、とられてしまった友達のボールを取り返すことができた。ラチはもはや友達を怖ることはなく、独りぼっちではなくなった。その時、ラチのポケットの中には、もうライオンはいなかった。ライオンは別の子どもを助けるために去ってしまうが、ラチのために残していた。『ラチくんへ きみは、らいおんと おなじくらいつよくなったね。もう、ぼくがいなくてもだいじょうぶだよ。ぼくはこれからよわむしのこどものところへいって、つよいこどもにしてやらなくちゃならないんだ。ぼくをいつまでもわすれないでくれたま え。ぼくも、きみのことはわすれないよ。じゃ、さよなら らいおんより』残されたライオンの言葉に励まされ、ラチはもう勇気と元気がなくなることはなかった。
 本日の福音書では、たしかに様々な恐ろしく、不安を呼び起こすことが書かれている。けれども主イエスは語られる。「しかし、あなたがたの髪の毛一本も決して無くならない。忍耐によって、あなたがたは命を勝ち取りなさい。」絵本の中では、ラチにはライオンが傍らにあって勇気と元気を与えてくいた。そして今私たちにも同じように主イエスは共にいてくださるのである。主イエスは私たちの髪の毛一本も決してなくならない、と約束されている。私たちは、この約束によっていつも守られ、勇気と元気を与えられている。そして主イエスの言葉で私たちが力づけられ、励まされて動く時、私たちもまた、怖れと困難の中にある隣人たちの傍らにいて励まし、助けることができるのである。私たちが主イエスの約束の言葉によって力づけられる時、私たちは孤独ではない。主イエスの言葉に守られ、励まされて、子どもたちが心も体も成長することを祈る。

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