2014年2月8日土曜日

[説教要旨]2014/02/02「主の恵みを伝え合う 」使徒20:32-38

顕現後第4主日・定期教会総会

初めの日課 ミカ 6:1-8 【旧約・ 1455頁】
第二の日課 1コリント 1:18-31 【新約・ 300頁】
福音の日課 マタイ 5:1-12 【新約・ 6頁】

定期教会総会にあたり2014年度の三鷹教会の主題聖句として使徒言行録20:32を選んだ。本日はこの箇所からみことばを聞いてゆきたい。使徒言行録20章は、使徒言行録の中でのパウロの三回目の宣教旅行の終わりの部分にあたる。この後パウロはエルサレムへと向かい、そこで逮捕・投獄され、やがてローマへと連行されることとなる。20章の冒頭でパウロは、弟子達を集めて励ました後、マケドニアへ出発し、かの地の弟子達を「言葉を尽くして人々を励ました」とある。教会の信徒達に対して、言葉を尽くして励ますことは、使徒言行録におけるパウロの主要な働きであった。そして、パウロはこの後に自らを待ち構えている運命を予感しつつ、ミレトスにエフェソの教会の長老達を呼び寄せて別れの言葉を残す。しかしその内容は、エフェソの教会にだけ向けられたものというより、むしろそれまでのパウロの宣教活動全体を振り返ったものとなっている。つまりこのメッセージはむしろ、パウロの遺訓の形をとって、今この使徒言行録の物語の読者に向けて、その信仰の交わりが励まされ力づけられるために、パウロのメッセージの全体を再確認するものであった。かつてパウロが語った、キリスト者の交わりを励まし力づけるメッセージは、今日そして今、私たちにとってもまた意味あるものであることを、この箇所は確認する。
そのメッセージを締めくくるにあたって、この世において教会を様々な苦難が襲うことが語られる。それは、教会の外からの迫害、また教会の内部での分裂を予想させるものであった。しかしたとえそうであっても、パウロにとって「主イエスからいただいた、神の恵みの福音」(24節)を教会の交わりにおいて分かち合うことは、これからぶつかる苦難に対抗する大きな力であった。「そして今、神とその恵みの言葉とにあなたがたをゆだねます。この言葉は、あなたがたを造り上げ、聖なる者とされたすべての人々と共に恵みを受け継がせることができるのです」(32節)と彼は語る。「神とその恵みの言葉」とは「主イエスからいただいた、神の恵みの福音」と同じことを意味している。つまり、たとえ様々な不安と困難が私たちの教会を取り巻いていたとしても、私たちは既に「神の恵みの福音」の内にゆだねられているのである。さらに教会が今や、神の恵みの福音にゆだねられているということは、今この地上において私たちを「造り上げる」と共に、私たちに「恵みを受け継がせることができる」のだと、パウロは語る。今や主の恵みの福音を分かち合い、励まし、力づけることは、パウロだけではなく、このメッセージを聞く全ての教会に託され、引き継がれている。実に、教会に集う一人一人が、互いに主の恵みの福音を伝えあう時、私たちを取り巻くさまざまな不安と困難に立ち向かう力をもまた、分かち合い、伝えあうことが出来るのである。
そしてさらにパウロは教会の使命として、「弱い者を助けるように」そして「受けるよりは与える方が幸いである」と語る。不安と不満が立ち込める今の時代、力を誇り、奪い取り、支配することが賞賛されつつある。しかし、そのような時代の中で、弱さの中に与えられる神の恵みを告け?合い、分かち合うことこそが、教会の使命に他ならない。この2014年、私たちが、主の恵みを伝えあう交わりとなる道を歩むことが出来るよう祈り求めてゆきたい。

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